【ゾクゾクてんこ盛り3】絵空事でない白鳥 アダム・クーパー "白鳥の湖〜Swan Lake〜"
マシュー・ボーン版「白鳥の湖」はゲイのバレエなのか
1995年に登場した、男性だけの白鳥が踊るマシュー・ボーン版「白鳥の湖」。
王子も、オデット(白鳥)も、オディール(黒鳥)も全員男性。宝塚の反対ね。
現在はジェンダーフリー(性別に問われない)の時代に変わりつつあるけれど、1995年はまだ今よりも保守的だったと思う。
男性同士でパドドゥを踊る、
男だけのバレエというと、
おカマのバレエとか、ゲイのバレエという偏見を持った人が多かったでしょう。
ニューヨークの某有名紙で「ゲイのファンタジー」と批評されているのも見ましたが、私見では、ゲイのバレエとも、男性同士の恋愛とも思わなかったな。
王子が孤独すぎて(精神的にも病んでいる)、
白鳥(オデット)が美しすぎて、
ジェンダー(性別)云々の話じゃないと。
古典の「白鳥の湖」が綺麗ではあるけれど、あまりにも現実離れして、絵空事に感じるのに対し、マシュー・ボーン版はリアルな感情が伴ったバレエと感じました。
記事は自分の覚書で書きたいので、ネタバレ気にしないあなただけ見てください。
ひたすら、私が感じたアダム・クーパーの魅力について書いておきたいと思います。
ゾクゾクしたその3
後ずさりで登場して、振り向いて見る
王子とのパドドゥ。後ずさりで出てくる白鳥(オデット)が振り向いて、王子を見る視線にゾクゾク。
汗でメイクは崩れつつありますが、このヘアとメイク、羽パンツの衣装はセンス抜群。ヘアメイクと衣装考えた人は凄い。
20世紀バレエ団のベジャールが「バレエの短いチュチュこそ、非機能的で醜く、下品」と嫌ったそうですが、そういわれれば、この羽パンツは、ダンサーの身体を綺麗に見せる上、ファッショナブル。ただし、上半身が綺麗な筋肉質で、ウエストが締まった逆三角形に近いボディが必要。
白鳥のアームスの美しさ
「白鳥の湖」といえば、白鳥の羽の動きをイメージさせるアームスの動き。
これをマスターするために、「白鳥の湖」や「瀕死の白鳥」では、プリマが苦労して身につけるわけですが、手先が変にヒラヒラしているものも多く、バレエ嫌いの人って、この辺についていけないのではないかなと思います。
なんとアダム・クーパーのアームス、綺麗です。肩から肘までの筋肉が美しく波打ちます。もしや、「瀕死の白鳥」のマヤ・プリセツカヤとタメを張っているかも?
ここのアームスに限らず、程良い筋肉質のボディに、目が釘付け。
特に片手を振り上げて、下ろすと同時に、深くプリエするポーズが好きです。
白鳥には羽があるけど、手はないから
王子と白鳥が踊るパドドゥ。揺れる感情が伝わってきてドキドキ。お互いの心が近づいてきて、白鳥はついに王子に接触します。
王子の胸に顔を擦り付ける白鳥にドッキリ、ビックリ。
考えてみれば、白鳥に羽はあっても手がないから、
人間のように第一段階は、手をつなぐとか、手で相手の頬に触れるとかないわけね。
猫とか犬とかも、顔を擦り付けてくるし。
同じ言語(鳴き声)を持たない場合は、分かりやすい直接的な感情表現。
人間は表現する手段が多くあり過ぎて、逆に迷い表現出来なくなっているのかも。
ゾクゾクする官能的なシーンではあるけれど、違和感はなく、人を好きになって、初めて相手に触れた時の高ぶる感情を思い出させてくれます。