【ゾクゾクてんこ盛り5】そこまで追い詰めるのか、ザ・ストレンジャー アダム・クーパー "白鳥の湖〜Swan Lake〜"
白鳥の湖における黒鳥(オディール)の存在
「白鳥の湖」の人気キャラクターといえば、やはり黒鳥(オディール) じゃないでしょうか。悪役がいなくては、物語の起承転結が膨らみませんしね。
野性の白鳥の魅力を見せてくれたアダム・クーパー、黒鳥(オディール)はどんなことになるんでしょうか。あの32回転は、どう落とし前(?)をつけるのかも楽しみですよね。
記事は自分の覚書で書きたいので、ネタバレを気にしないあなただけ見てください。
ひたすら、私が感じたアダム・クーパーの魅力について書いておきたいと思います。
ゾクゾクしたその5
The Stranger(ザ・ストレンジャー)とは
黒鳥(オディール)は、マシュー・ボーン版では、"The Stranger(ザ・ストレンジャー)"となります。うまいネーミングですね。
見知らぬ人、他人の他に、よそ者、流れ者、変わった人、ミステリアスな人などの意味もあります。
登場の仕方が素晴らしい
まず、登場の仕方にゾクゾクしました。
ガムを噛みながら、バルコニーの手すりを綱渡りのようにフラフラ歩いて登場。ハナから、ナメタ態度です。ジロリとバルコニーの手すりから、人々を見下ろす不遜さ。コイツ、トラブル起こすだろう感満載。
アンタなんか知らないよ
ザ・ストレンジャー登場に、ビックリ仰天の王子。公園の池にいるはずの白鳥が、なぜここに?しかも、見知らぬ相手を見るようなよそよそしい目つき。まあ、だからザ・ストレンジャーって名前なんですよね。
私が初めにザ・ストレンジャーを見て思ったのは、「おお、白塗りしてない」。白鳥は、顔を含め全身白いドーランを塗りまくり。全身のドーランは皮膚呼吸できなくて、さぞや暑かっただろうと思いましたよ。白鳥の時、ジャンプの連続で体力消耗する振り付けのせいもあるけれど、大量の汗をかいていたもの。
人を煽り、操るザ・ストレンジャー
ザ・ストレンジャーは、パーティ会場の雰囲気を乱し、支配し、その場の女性全員を煽りまくります。
支配、陰謀、策略、そして陥落。女性をペロペロ舐めるのは、ちょっとやり過ぎでいただけませんが、人を恐れる白鳥と、人を操る黒鳥(ザ・ストレンジャー)の対比をはっきりさせたいんでしょうね。白鳥の羽パンツに対して、ザ・ストレンジャーの黒の革パンツも素敵。羽パンツでは分かりにくかったけど、革パンツならヒップの形も完璧だと分かります(言っちゃった、きゃっ)。
王子と踊るタンゴ
女性たちを煽り、相手を次々と変えて踊りまくる、ザ・ストレンジャー。王子は焦(じ)らされ、指を咥(くわ)えて見ていましたが、ついに彼の番が来ましたよ。
月も隠れた暗闇で踊るタンゴは、心理的な緊迫感もあり、生々しいです。男同士のダンスゆえ、パワフル。ここが黒鳥のパドドゥにあたり、見どころです。
徹底的に痛めつけるザ・ストレンジャー
王子の心の拠り所、心の奥に大切にしまってある白鳥。似て非なるザ・ストレンジャーは、黒鳥の誘惑よりも、徹底的に暴力的。王子を精神的に、とことん追い詰める凶暴さがあります。
タバコの灰を額に擦り付け、「アンタが好きなのは、コイツだろ」と貶めます。額のメイクはもちろん、白鳥を意味します。額に灰を擦り付けるアイディアは、アダム・クーパー本人のアイディアらしいです。
ドラキュラに似ている
アダム・クーパーが、バレエ界のセクシー・アイコンと呼ばれたのは、暴力的なまでにセクシーなザ・ストレンジャーに、多くの男女が完全ノックアウトされたからです。
個人的にザ・ストレンジャーが一番好きなところは、ニヤッと笑った時に、歯が尖って見えること(単にライティングの所為かも?)。ドラキュラ好きな私としては、悪役はやっぱり歯が尖ってないと!とゾクゾク。
白鳥とまったく違う魅力を見せた、アダム・クーパー凄いです。この世のものとは思えない儚い白鳥と、俗世間的なザ・ストレンジャー。さて、あなたはどちらがお好きでしょうか。
Adam Cooper- Mathew Bourne's Swan lake