2020年1月ニューヨーク公演 マシュー・ボーン新演出版「白鳥の湖」鑑賞記
2020年1月 ニューヨーク公演 ニューヨークシティセンター
2020年1月30日、マシュー・ボーン新演出版「白鳥の湖」ニューヨーク公演を観に行きました。ニューヨークシティセンターは、アルビン・エイリーの公演もよく行われており、ダンス系の公演が多いですね。ハコの広さも程良くて見やすく、好きな劇場です。
席はバルコニー(天井に近い安い席)。ってか、バルコニーと1階の立ち見席しか見たことがないかもね。でもいいの。結構見られるもん。
どの白鳥を選んだか
白鳥は3人(3羽?)いるのですが、悩んだ上、消去法でマシュー・ボールにしました。
●マシュー・ボール
モデルもやっている、ロイヤルバレエのプリンシパル。アダム・クーパーとは違うタイプですが、美形ですね。どんな白鳥/ザ・ストレンジャーを見せてくれるんでしょうか。
2020年1月30日 ニューヨークシティセンター 初日
夜8時からの公演です。観客の年齢層は結構高め。アダム・クーパー時代も見ていそう。羨ましいな。
天井に近いバルコニー席右側は、こんなところを通って席にたどり着きます。間違えたかと思って、一度引き返したら、係りの人に「そこそこ、そこをまっすぐ」と言われましたよ。
スワンレイク用のプロジェクターの箱なんかもあったんで、記念に撮ってみました。
バルコニー席から見た眺め
バルコニー席でも、前から2番目なので、そんなに悪くないですよ。結構見えます。
ま、天井にも近いです(苦笑)。
個人的に良かったなと思ったのはこの二人
プリンス役 James Lovell
プリンス役James Lovellが可愛かったなあ。若くて、小柄ですが、元気一杯。全身で役を表現しており、好感度高し。天井近くのバルコニー席まで、彼の想いが伝わりました。私が動画で見たScott Amblerがサイコ入った年齢高めなプリンスだったのに対し、James Lovellは初々しくて健康的なプリンス。悩んでる感じには見えなかったですけど(笑)、おどろおどろしくなくて良かったです。
James Lovellはしっかりバレエをやっている人なので、白鳥に見劣りしなかったですね。その辺もダンス面が弱かったScott Amblerとは対照的。彼は多分20歳くらいで、入団してすぐプリンス役を貰ったよう。この先、白鳥もいけると思いますね。
初代プリンス(オリジナル・キャスト)で、振り付けもされたScott Amblerは、2018年に逝去されています。
ガールフレンド役 Freya Field
ガールフレンド役が、とてもチャーミング。うるさくない可愛さで、目立ちました。こんな気の良いガールフレンドと結婚したら、プリンスが幸せになれそうな気がしましたよ。
白鳥というよりは、鷲か鷹
アダム・クーパーと比較してはいけないと心に言い聞かせておりました。。。
初めにマシュー・ボールが、プリンスのベッドに背後霊のように出てきた時(バルコニー席なので、上部は見えなかったけど。泣)、すごく迫力があったので、「あら、これはもしかしていけるのかも?」
さすが、ロイヤルのプリンシパルだけあって、踊りは安心して見ていられますね。
彼はガタイが良く、アダム・クーパーのように線が細くはないので、見ていて、「白鳥というより、鷲(ワシ)か鷹(タカ)?」。 綺麗な白鳥というよりは、マッチョな白鳥って感じ。
動画で見たオリジナル版と違う点
今回はオリジナル版と比べて、全体的に野性的かつ男性的な部分を強調しているように見えました。白鳥の群舞が、モダンのグループでよくある「ハッ」という息継ぎとも掛け声とも聞こえるのを多く入れていて、カンフーみたいだなあって違和感。個人的にはちょっと苦手。野性的な感じを強調したいのかな。
オリジナルは滑らかな動きで第二幕はバレエに近いモダンでしたが、新演出版はモダン色が強い感じ。センターの白鳥を誰が踊るかによってイメージも変わるので、振り付けや演出は時々で変わるのでしょうね。
オリジナル・キャストのアダム・クーパーやScott Amblerは振り付けも参加し、一から作品を作り上げたので、彼らのためのオーダーメイドの「白鳥の湖」でした。彼らが踊ることがなくなった今、形を変えて引き継いでいくのでしょう。
ニューヨークではどう批評されているか
舞台は思ったより、あっという間に終わりました。動画では飛ばしていた第一幕や第三幕のザ・ストレンジャーが出る前なども、退屈することなく見られました。
私が主役に感じたことを書く前に、ニューヨークでは今回の公演をどのように批評しているのか気になりました。
2週間のニューヨーク公演で、マシュー・ボールは初日から3日間だけの出演。批評を調べると、私と同じ初日(2020年1月30日)を見ている批評家が多かったです。
私と同様に、心を打たれるプリンス役のフレッシュさ、ガールフレンドの好演を挙げている人が多く、マシュー・ボールおよび白鳥の群舞については、"Masculine(男性的な)"という批評が多く見られました。
レビューは5つ星が多く、総じて高評価でした。
2020年ニューヨーク公演 白鳥の出演スケジュール
The Swan/The Stranger
Matthew Ball (Jan 30, 31; Feb 1 eve)
Max Westwell (Feb 1 mat, 2 eve, 5, 7, 8 eve)
Will Bozier (Feb 2 mat, 4, 6, 8 mat, 9 mat)
個人的な感想を、正直に言いますと
私も "Masculine(男性的な)"な「白鳥の湖」だなあという感想。構成は面白く、群舞のダンサーの質は高く、見ごたえがありました。動画版では鼻に付く王妃を含め、プリンス、ガールフレンドのクセ(個性)は弱まった感じ。群舞のセンターで踊るリードダンサーが上手。主役が怪我などのアクシデントで踊れない場合は(3羽いるけど)、彼が代役を務めるのかなと思いながら観ておりました。
しかしながら、皆さんが絶賛する、マシュー・ボールが個人的にはイマイチ好みでありません。テクニックは上手と思うのですが、下記が苦手です。彼のファンの方、ごめんなさい。
●バレエのテクニックは上手だが、モダンやジャズが踊れない。ダンスの幅は必要かも。
●ハンサムだが、頭のハチが大きく、白鳥のヘアがイマイチ似合わない。
●時々出る、ロイヤルバレエ独特のカクッとした手の動きが気になる。
●視線が下向きで、表現が本人の内側に入ってしまい、バルコニー席まで届かない。プリンスやガールフレンド役は劇場全体に感情が行き届いたので、座席の問題ではないようだ。マシュー・ボーンが「目を閉じるな、パワーが落ちる」と彼に注意していたのをPR動画で見たけど、彼は自己陶酔タイプなのかも。
ファンの方はスルーしてください。個人的な好みの違いです。
マシュー・ボーン新演出版「白鳥の湖」公演関係の動画
Choreographer Matthew Bourne on Tchaikovsky's Swan Lake
Matthew Bourne’s Swan Lake returns to New York City Center